お菓子作りには欠かせないバター。
バターには三つの性質があることをご存じですか?
「可塑性」
冷蔵庫から出したばかりのバターは固くて 形を変えることができません。ですが常温に戻してしばらくすると指で押すとへこんだり、手で自由に形を変えることができるようになりますよね。これを「可塑性」といいます。
この性質を利用しているのが折り込みパイ生地です。小麦粉の生地(デトランプ)でバターを包み、のしては折りたたみ、これを繰り返して層を作っていきます。デトランプとバターが同じ伸び方をしないといけないのですが、このバターの性質は13~18℃でないと生かせない。だから家庭で折パイをやるのは冬場でないとちょっと厳しいですね。
「ショートニング性」
同じパイ生地でも バターと小麦粉をざっくりと混ぜ合わせていくフイユタージュ・ラピッドは バターの「ショートニング性」を利用しています。 生地が口の中でほろっと砕けたり、クッキーがサクサクするのもこの性質です。
クリーム状のバターが生地の中にフィルム状になって広がり、グルテンをできにくくしたりデンプンが決着するのを防いでくれるおかげでサクサク感が出てきます。バターがこの性質を発揮するには生地中に広がれる固さでないとならないので、手で押しつぶすことができる程度の固さからクリーム状の間で作りたい生地に適した固さにして使います。
「クリーミング性」
3つ目は「クリーミング性」です。
バター生地を作るときに、バターをクリーム状にして砂糖を入れて混ぜますよね。クリーム状にして混ぜたときに空気を抱きこむ性質を「クリーミング性」といいます。クリーム状といっても、ホイッパーで混ぜたときに少し抵抗を感じるくらいの固さが必要です。柔らかすぎるとこの性質は発揮されないので注意しましょう。始め黄色だったバターも、空気を抱きこむと白っぽくなっていきます。
よくマフィンやパウンドケーキのレシピに「バターが白っぽくなるまで混ぜます」と書いてありますが、「白っぽくなるまで混ぜたのに膨らまなかった」場合はまだ混ぜが足りないと思われます。最初の黄色から比べたら確かに「白っぽく」はなってはいますが、白いものと並べたときに「黄色というよりは白の仲間だ」と思えるところまでいけば膨らみますよ。
以上の3つがバターの性質ですが、一度溶かしてしまったらその性質は全て失われて元には戻らないので注意しましょう(参照:どうやってバターを柔らかくしていますか?)。